誰が相続人になるのか?
人は亡くなると、相続が開始しして、亡くなった人の財産や借金を相続人が承継するようになります。
相続対策をするにしても、相続手続きをするにしても、まずは誰が相続人か把握しないと話が始まりません。
誰が相続人になるのかは民法で定められています。また相続人が相続する割合である法定相続分も同じように定められています。
配偶者(夫・妻)は必ず相続人になります
配偶者(夫・妻)は必ず相続人になります。
配偶者というのは内縁の夫・妻を含みません。つまり婚姻届を役所に提出した夫婦(法律上の婚姻関係=法律婚)しか相続人になることはできないということです。また離婚した元配偶者も相続人になることはできません。
日本は法律婚を重視しており、例えば20年もの間別居していた法律上の夫婦間には相続が認められますが、20年もの間生計を同一にしていた事実婚の夫婦間には相続は認められません。
事実婚、内縁の夫や妻に財産を残したい場合には、遺言書などを活用する必要があります。例外として内縁の夫や妻が相続できる場合もありますが、極めて限られた場面のみであり、現実にはほとんど相続人になることはできません。
子も必ず相続人になります
子どもは必ず相続人になります。
子とは、実の子だけではなく、養子も含みます。子が先に亡くなっていた場合は、その子の子、つまり孫が相続人になります。孫が亡くなっていた場合は曾孫が相続人になります。
法律上、勘当という制度はありません。親子の縁を切った、切られたと言っても相続人であることに変わりはありません。
養子が先に亡くなっていて、養子に子がいる場合は、養子縁組をした後に生まれた子に限り相続人になります。
子(直系卑属)がいない場合は、父母が相続人になります
子どもがいない場合は、父母が相続人になります。
父母のどちらも先に亡くなっていた場合には、祖父母が相続人となります。例えば父のみ亡くなっている場合は、母が相続人となり、父の父母、つまり父方の祖父母は相続人になりません。
祖父母の両方が亡くなっている場合は曽祖父母が相続人になります。
子も父母もいない場合は、兄弟姉妹が相続人になります
子どもも父母もいない場合は、兄弟姉妹が相続人になります
兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合は、その子、つまり甥・姪が相続人になります。子の相続の場合と違い、甥・姪が亡くなっていたとしても、又甥・又姪に相続は発生しません。父や母の一方だけを同じにする兄弟姉妹も相続人になることができますが、その相続人は父母を同じくする相続人と比べ、相続分が2分の1になります。
以上のどれにも当てはまる相続人がいない場合は、相続人の不存在という制度によって、遺産や借金の処理がされます。
各相続人の法定相続分について
誰が相続人になるか? | 法定相続分 |
---|---|
配偶者のみ | 全部 |
配偶者と子 | 配偶者2分の1・子全員で2分の1 |
配偶者と親 | 配偶者3分の2・親全員で3分の1 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者4分の3・兄弟姉妹全員で4分の1 |
子のみ | 全部 |
親のみ | 全部 |
兄弟姉妹のみ | 全部 |
遺言書を残さずに相続が開始した場合、遺産をどのように分けるか相続人間で話し合い(遺産分割協議)を行います。遺産分割協議の際、それぞれどれだけ相続するか決める基準となるものが、法定相続分です。
しかし、法定相続分はあくまで目安であり、必ずしも法定相続分の割合で遺産分割協議をしなければならないわけではありません。相続人全員の合意があれば法定相続分を無視した遺産の分割も可能です。
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