自己破産にまつわる11の誤解

何かと誤解されがちな自己破産のイメージ

あなたは「自己破産」と聞くと、どんなイメージが湧きますか?

借金を帳消しにする自己破産は、債務整理の手続の中で最も強力ですが、そのため自己破産について誤解が生じやすいのも事実です。

ここでは自己破産についてのよくある誤解について解説していきます。

誤解1:戸籍や住民票に破産の記録が残る

戸籍取得破産をしても、戸籍や住民票に「破産をしたことがある」という記録をつけられることはありません。「戸籍法」という法律で、戸籍や住民票に記載する内容は定められていますが、戸籍法には破産をしたことを記載するという定めがないので、破産したということが戸籍等に載ることはありません。

ちなみに本籍地の市町村には破産者名簿というものがあります。破産者名簿に破産者として記録されていると、本籍地の市町村が発行する身分証明書(禁治産・準禁治産、成年後見の有無、破産の通知の有無を証明する書類)を取得することができません。

「破産者名簿に名前が載ってしまって、破産したことが周りにバレてしまうのでは?」と考えることもできそうですが、実際はそんなことはありません。

まず破産者名簿は公開されません。役場に行って破産者名簿を見せてほしいと頼んでも誰も閲覧することはできません。

さらに破産者名簿は自己破産した人の全てが記載されるわけではありません。むしろ破産者名簿に名前が載るのはかなり珍しいことです。破産者名簿に破産者として記録されるのは、破産の申立をしたが裁判所から許可が降りなかった等、極々限られた場合にしかありません。つまり自己破産をしたほとんどの人は破産者名簿に名前が載ることはありません。

また破産したことが分かる身分証明書ですが、原則本人以外が取得することはできません。そのため仮に破産者名簿に破産者として記録されていたとしても、本人以外が破産している・破産したことがある、ということを役所で確認することはできません。

誤解2:クビになる、会社を辞めさせられる

破産をすると会社をクビになったり、辞めさせられるのではと不安に思われる方もいます。

結論から言うと、会社(使用者)は、破産者が破産をしたことでクビすることはできません。なぜなら普通、破産をしたことは、会社で働くことと何の関係もないからです。破産したことで業務に支障が出るならともかく、そんなことは現実には殆どありえません。

これは例え就業規則や労働契約書の中に「自己破産をしたものは解雇とする」という規定があったとしても同じで、会社はクビにすることはできません。

ただ何でもかんでも自己破産しても仕事を辞めなくても良い、という訳ではありません。

まず株式会社など法人の役員(取締役・監査役など)は、破産の申立をすると会社との委任関係が終了するので、自動的に役員ではなくなります。ただし破産の申立をした後に、破産した元役員を株主総会などで再任することは可能です。

また破産の申立をすると一定の仕事・職業に就くことができません。弁護士や税理士、生命保険募集人、警備員などの仕事をしていた場合は、破産の手続きが終わって免責の許可が出るまでは、以前していた仕事を辞めなければならないこともあります。

ちなみに自己破産すると全ての借金を帳消しになるため、会社から多額の借金をしていた場合は会社からの信用を大きく損ねてしまいます。この場合まで解雇されない、と言えるわけではないので注意が必要です。

そもそも会社が従業員が破産をしたということを知ること自体があまりありません。破産したことは官報に掲載されますが、基本的に官報を見なければ、破産者以外が破産の事実を知ることはできません。会社や会社の労働組合から借金をしていた、給料の差し押さえがあったという場合以外は、会社が破産したということを知ることは殆どありえません。

誤解3:引っ越しできない・海外旅行に行けなくなる

自己破産をすると引っ越しや海外旅行に行けなくなるという誤解がよくあります。

確かに破産手続き中は住所を変えるのに裁判所の許可が必要になりますが、不許可になることはほとんどありません。住所を変える際に裁判所の許可が必要なのは、持っている財産を隠したりしないようにするためです。そのため事前に許可を得ていれば裁判所も住所を変えることを認めてくれるというわけです。

またそもそも処分できるような財産がほとんどない場合(同時廃止事件)では、自由に住所を変えるができ、旅行もできます。

どちらにしても破産手続きが終了すれば、居住制限もなくなりますので、引っ越しも海外旅行も自由にできます。

またパスポートに破産した事実は記載されませんし、入国審査の際に破産したことがあるか?とは聞かれる国はありませんので海外旅行も自由にすることができます。

誤解4:選挙で投票できなくなる

破産をしても選挙権・被選挙権はなくなりません。選挙権・被選挙権がなくなるのは一定の犯罪を犯し、また犯罪を犯した後一定の期間が経たない者です。

破産は犯罪でもなんでもないので自由に選挙で投票し、また立候補(実際に自己破産をしたあとに国会議員に立候補し、選挙で当選された方もいます。)することができます。これは破産手続き中であっても同じです。

 

誤解5:お墓や仏壇を売らないといけない

自己破産すると先祖代々守ってきたお墓や仏壇、神棚などを没収されてしまうという誤解があります。特に仏壇は100万円を超える価格の物もあるので、この点不安になる方もいると思います。

確かに自己破産をすると持っている財産を売却して、借金に充てなければいけないのが原則ですが、「仏像、位牌その他礼拝又は祭祀しに直接供するため欠くことができない物」は差し押さえを禁止されているので、お墓や仏壇などは自己破産しても処分する必要はありません。

こういうことをいうと「せっかく自己破産するならお墓(仏壇)をローンで買おう!」と行動しそうですが、絶対にしてはいけません。こういった不当に返すつもりのない借金をすると、破産が認められなくなるだけではなく、詐欺破産罪として処罰されてしまいます。破産はあくまで誠実な態度で行うものだといえます。

誤解6:全財産を失ってしまう

自己破産をすると全財産全て失って、裁判所の職員がやってきて差し押さえのテープを、テレビや冷蔵庫などの家具にペタペタ貼っていって、「財布の中身を全部出してください」と言われる…そんなイメージを持っている方もいると思います。

ですが実際には自由財産と呼ばれる財産は、破産によって処分されることはありません。

自由財産のうち主なものは、①99万円以下の現金 ②生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具です。

自己破産は債務者の生活再建のために行われるものですから、全く手元に残らないのでは、生活再建どころではなくなってしまうので、生活必需品と少額の現金は処分しなくても良いことになっています。

誤解7:家族に迷惑がかかる

自己破産をすると家族に支払い請求が届いて迷惑がかかるのでは?と思われる方もいますが、借金は債務者自身の問題です。たとえ家族であっても、借金は別問題なので、原則自己破産で家族に迷惑がかかるということはありません。

ただし家族が保証人になっていた場合には、請求が家族にされることになるので、その場合は注意が必要です。

誤解8:一生お金を借りられない

自己破産をするといわゆる「ブラックリスト」に載るという状態になり、ローンを組んだり、クレジットカードを作れなくなったり、借金をすることができなくなります。ブラックリストとは信用情報機関に事故情報が載っている状態のことを指し、この状態では信用がないということで、この信用情報機関に照会をかけた金融機関等はお金を事実上貸さなくなるので、自己破産をすると借金ができないとされています。

このブラックリストに載るという状態は、ずっと続くものではありません。信用情報機関ごとに事故情報が掲載されてから5年から10年経過した後、事故情報が抹消される決まりとなっています。そのためずっと借金ができないというのは誤りということになります。

よくある誤解なのですが、自己破産をすると、全ての借金ができなくなるというわけではありません。実際に貸してくれるかはともかく親戚・知人などからお金を借りることはできます。事故情報がある人にお金を貸したくないから、金融機関等がお金を貸さないだけです。

また自己破産したことを知った闇金業者(広告でブッラクOKと謳っている)などが、あえて融資の案内などを出すこともあります。こういった業者からお金を借りてしまうと、せっかく生活が再建できる状態になったのに、かえって危険な状態になってしまうので、自己破産後は10年はお金を借りられない、と思うのが良いでしょう。

誤解9:銀行口座が解約される&二度と銀行口座を作れない

自己破産をしても銀行口座は解約されません、そのまま使用し続けることができます。また自己破産をした後に新しく口座を作ることもできます。

自己破産したことで借金をすることはできなくなりますが、口座を持っているのは信用に何の影響もないので、自由に持つことが出きます。

誤解10:子どもの将来に影響が出る

自己破産は、自己破産をした人の問題なので、子どもが例えば進学できなくなる等の悪影響はありません。

ただし奨学金を借りるときや、教育ローンを利用するときに親の保証人が必要になった際不便になる可能性はあります。

 

誤解11:住んでいる家からすぐに追い出される

アパートやマンションなど賃貸住宅の貸主は、借主が自己破産したことを理由に、賃貸借契約を解除することはできません。

ただし家賃を滞納し続けると賃料の不払いを原因として、賃貸借契約を解除されてしまうことがあるので注意が必要です。

自分の持ち家は裁判所によって売却されますが、売却されるまでは最低6ヶ月程度かかるので、その間は自宅に住み続けることができ、すぐに追い出されることはありません。

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